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命名の由来

 長女の名前は依奈(えな)といいます。(沖縄の産科で出産) 

胎児が生み出されたのち排出される胎盤、卵膜などは胎衣(えな)、後産と呼ばれます。長女に名付けた音韻の「えな」はそこから採っています。母親の子宮で育った命が、出産・分娩という一大事業を経てこの世に出てきますが、それまで大切に守ってくれた胎衣や、住んでいた沖縄の人々の愛情、栄養となった沖縄の生きものたちに感謝する意味で名付けました。

「えな」の「え」は胎衣(えな)の漢字を入れ替え、「衣(な)」に人の意味を加えるため人偏を付けて「依(え)」と読むようにしました。「な」は鑑真が沖縄に漂着した時に沖縄島のことを「阿児奈波島」(あこなわとう)と呼んだとされることから、その中の一字を取って「奈(な)」としました。つまり、「依奈(えな)」が、一人前になった時、今度は沖縄に恩返しするような人間になって欲しいという意味が込められています。

 

二女の名前は亜和(あや)です。(沖縄の産科で出産)

日本古代史「ほつまつたゑ」には日本語のルーツが記されていて、ここにある「ふとまにの図」は「おしで」という表音の神代文字・48字で構成されています。「おしで」で記された48文字(のちの「あいうえおの50音」)はその一つひとつが元素と合致し、同時に48音の神々が元素の周期律表に合わせて鎮座されています。「ふとまにの図」では「あ」が最初の音で、最後が「わ」です。」。「あ」には天(あめ)と父、「わ」には地と母、「や」は「わ」の前順にあって子ども、自分の意味があります。「和(わ)」は「和(や)わす」という意味があって、「や」とも読みます。つまり、「あわ(や)」は天地人をつなぐ人間になって欲しいという願望を古代の日本語によって表現しています。「あ」を「亜」にしたのはアジア全体の幸せを視野に入れたからです。

 

三女の麻衣(医師・助産婦なしの自宅出産)は、麻でできた蚊帳(かや)の中で結ばれて、命が芽生えた子どもです。蚊帳は本麻を織ったもので、昔から「雷が鳴ったら蚊帳に入りなさい!」といわれていたほど、麻は電磁波を通さないことで有名です。また、虫除けの効果もあります。僕たち家族は冬でも蚊帳を張ります。蚊帳の外と内では1℃は違うからです。しかも、温湿度は安定しています。そのような環境で育まれた命が、自宅出産では卵膜(衣)を着けたまま生まれてきました。いわゆる、袋子です。つまり、日本古来の麻の中で育った胎児が衣を着けて出てきたので、「麻衣」と命名しました。蚊をいきなり殺虫剤で殺すのではなく、蚊取り線香(蚊遣り)を立て、それでもだめなら蚊帳を吊る。このような暮らしをしていた証しとして、また、人間以外の生物と共存する意味、加えて、大きな心で覆われ、自らも覆うというやさしい衣のような感性を身につけてもらいたいとの願いが込められています。

長男は朴然(ぼくねん)と言います。(医師・助産婦なしの自宅出産)

 漢字の「木」は象形文字です。古来の日本語では、前の「イ」と「ル」が省かれていますが、「キ」は「イキル」を意味しました。漢民族は「木」を形で捉えましたが、日本民族は「イキモノ」と捉えたところに民族の感受性の違いをみることができます。

 「木」に「ト」を付けたのは、「木」のなかでも「朴(ほう)の木」のように柔軟性に富んだ人間になって欲しいと言う願いが込められています。「朴(ほう)の木」は、包丁の柄(え)やまな板などに使われていて、鋭利な刃物で傷つけられても、再び元の形に戻るという復元力に優れた木です。

また、「然」は「自然(しぜん)」の「ねん」ですが、「ぜん」ではなく「ねん」と呼びます。縄文以来、日本人が自然を自然として意識していなかった自然観を取り戻す日本社会にして欲しいという願いが込められています。つまり、自然(じねん)の摂理に則し、人も自然のシステムに組み込まれて生きていって欲しいという意味が含まれています。

以上が子どもたちの命名の由来です。世は科学の時代、さりとて出生するまで性別をあえて医者に聞かなかったことも付け加えます。子は授かりもの、神秘の世界だと今でも信じています。合掌!

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